花見

花見をしてる人ばかりだ。みんな花見をしてる。
でも費やす時間はどれくらいだろう?
2時間?3時間?5時間とか花見していたらそれは長い部類に入る。
でもどれだけみんな花を見ているのだろう。
桜のあの木を、花を、枝の先の小さな花のかたまりを、そして光によってかわる色を。
今日、というか前日の深夜から友人の花見に少しつきあった。
彼は24時間耐久花見という軽く修行とも言える企画をなんとなく立ち上げ公言し、
なんとなくひとりで実行してみている奇特で素敵な人だ。
彼と話をじっくりしたかったし、ひとり、彼のいる緑道に原付を飛ばした。
緑道には初めて来たが思ったよりも道が長く、広い。そしてきれいに舗装されている。
まだ周囲には宴会の余韻を残した賑わいがあり、誰かが持ち込んだラジカセから流れる
ポップミュージックや、鳴らすギターの音が聞こえる。

そんなわりと賑わう人々の中を、この長い緑道のどこに友人がいるかわからないので適当にぶらぶら歩く。
すでに電話をしたり、場所を聞いて待ち合わせて向かうのは野暮になっている(思い込み)。
手にはさっきコンビニで買ったいかにもな、お花見グッズ。ビールとおつまみ。
このまま会えなくてもそれはそれでおもろいなあと思っていると、
賑わう若者達の宴会の陰でひっそりと、ブルーシート、机、ガスコンロ、焼酎、グラス、その他
これまたいかにもな、お花見セットを前にひとりたたずむ503号室氏を発見。合流。
いわゆる場所取りにしては準備が良すぎる。起きてるし。しかも誰か待っているようなたたずまい。
えー夜2時ですよ。

それからベンチに座りいろんなお話をして、本当に来てよかったと思った。
彼はとても正直な人だと思ったし、また正直さは強さなのだとも思った。
ただ僕は同じような正直さを出せるのかと言うと、それは違うなと思った。
僕はつい小さな嘘をつく癖が抜けそうにないので、その嘘をみんなに楽しんでもらえるように生きて行こうかと思う。
誰も傷つかない、楽しみや喜びのある小さな嘘を。

180cm超の2人の20代男子が桜の下、ベンチで話し込む様子は神様目線でどう見えるのだろう。

朝方の濃紺の空に浮かぶ桜が、とても美しかった。

帰宅後、爆睡。